な行

猫と金魚

桃家へいが「旦那が番頭に 翻弄(ほんろう)されるのが面白い!」と語る、ちょっとした爆笑落語です。でも、CDが…誰か教えてください。
お隣の猫が金魚を食べてしまう、かといってご近所と 角つきあいするわけにいかず、怒鳴り込むわけにいかない。旦那が番頭に相談すると、この番頭がどうもおとぼけで…「隣の猫の手の届かない高いとこに金魚鉢を上げようか」「はす向かいのお風呂屋の煙突の上はどうでしょう」「そんなとこじゃ眺めることも出来ないじゃないか」「双眼鏡で見たらどうでしょう」「私ャ、 山本五十六じゃないんだよ」と、こんな調子で。
結局、湯殿 の上の棚に金魚鉢をあげたものの、ところがやっぱり隣の猫が金魚鉢をかきまわしている。こらしめようと思うが、番頭はねずみ年で無理だ?と言う。そこで、頭(かしら) の虎さんを呼んで、猫をつかまえてもらおうと…ドタン!ピシャン!ザブン!助けて~なんと虎さん 濡れ鼠に。

國落では 土掘亭もぐらの熱演が忘れられません。4年生での学祭のときに10分のものが9分に、9分が8分に、そして8分のものが7分にと、やるたんびに短くなっていく、それでいて一発ギャグも(「棚の上に金魚鉢をあげてくれ」「上げました」「それでいいんだよ」「で、金魚どうしましょう」「シュビーン!」って、シュビーンってなんだよって感じですが)さえわたり面白さが倍増していくという。学生落語 4年目にして自分のものにしてしまうというのはこのことかなと感心したもんです。

翻弄:

自分の思うとおりにもてあそぶこと。

角突き合い(つのつきあい):

なかが悪くてよくけんかすること。

山本五十六(やまもといそろく):

海軍大将・元帥。連合艦隊司令長官として太平洋戦争で真珠湾攻撃・ミッドウェー海戦などを指揮し、ソロモン諸島上空で戦死。月の家円鏡改め橘家円蔵が「猫と金魚」のギャグとして用いている。

湯殿(ゆどの):

ふろば。

かしら:

鳶(とび)の者などの、いちばん上の人。

濡れ鼠(ぬれねずみ):

衣服を着たまま、全身がびしょぬれになること。

土堀亭もぐら:

第25台幹部。四代目三優亭周朝。富山出身。肩車という言葉が通じず、説いて聞かせると「ああっ、“さるぼんぼ”ですか。」と、数々の方言で楽しませてくれたり、いろいろ逸話も多い一人。

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猫の皿

江戸時代も末期になると、先祖伝来の名刀を売り払って、その金でもって、茶器やら美術品を求めたという…そこで地方を捜し歩いて安く買っては高く売る。「今どき兜(かぶと)なんぞかぶってると、あたま痛くなっちゃうでしょう。頭痛持ちになるといけないから、よかったら値よく買いますよ」なんてことを言って買って来て、調べてみると、これが名人の作で、とんでもなく高く売れたり…。
こういう商売をしている果師が、旅の途中で立ち寄った茶店で高麗の梅鉢という実に高価なものを見つけます。なんと、その茶店の爺(じい)さんは、その皿で猫に飯を食わせているではありませんか。知らないのなら、なんとかしてふんだくってやろうと果師は「この猫を俺に譲ってくれないか」と持ちかけます。ところが爺さんもなかなかのもので、皿までたどりつくには…と、なかなか皮肉な人を食ったおかしみのある咄です。
「果師が猫をほしいという件(くだり)や下げ、このとぼけた爺さんが気に入った」とは梅毒蝮秘三太夫の弁。おっと、この咄はあまりしゃべりすぎてはいけないかな。CDならNHK落語名人選2 古今亭志ん生(他に「唐茄子屋」を収録)POCN-1002などで、お楽しみ下さい。

はたし
果師:

「売り果たす師(人)」の意で、古着や古道具の市場で、仲間相手に売買する者で、自身は店を持っていなかったとか。

(こうらいのうめばち)
高麗の梅鉢:

朝鮮の高麗焼の梅鉢(梅の花を図案化したもの)の皿。当時でも高麗時代の上等な製品は非常に高価なものであった。


人を食う:

相手を軽く見てばかにすること。
ついでだが、故吉田茂首相(第2次大戦後、第5次にわたって内閣を組織、サンフランシスコ講和条約に調印し占領下の日本の独立を果たしたが同時に日米安全保障条約を結んだ昭和の宰相で、国会で演壇から水をぶっかけたりバカヤロー解散などとエピソードは多い。)が、記者に「総理は血色(けっしょく)がよろしいが健康の秘訣は」と聞かれ「わしは人を食っとるからだよ」と答えたという、おっと、これは余談が過ぎた?

さげ
下げ:

落語のオチ(おわりのシャレやことば)。

ばいどくまむしひさんだゆう
梅毒蝮 秘三太夫

八代目三優亭左勝を襲名。第38回渋三落語会で「猫の皿」を口演。

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野ざらし

長屋住まいの八五郎が、夜中に隣家で女の声がするのを聞きとがめ、のぞいてみると、一人暮らしの浪人者のところへ若い女がいるではないか。翌朝、聞いてみると、世にも奇怪な物語… 向島へ釣りに行ったが一匹もかからず、あきらめて帰ろうとすると、かきわけた の中に人骨を見つけたという。 野ざらしではと 不憫に思い、飲み残しの酒を注ぎ、 回向をしてやった。すると夜中に、その 功徳によって浮かばれたと礼に来たのが、あの美女だと。うらやましがった八五郎は幽霊でもなんでも、女が釣れるならと、強引に竿(さお)を借りて向島にやって来る。おおぜいの釣り人たちの迷惑もかえりみず、どんな女が訪ねて来るかと空想して唄まで飛び出す八五郎の浮かれまくりの大騒動…
CDなら三代目春風亭柳好名演集(他に「たちきり」「二十四孝」を収録)がお薦めです。 全篇歌い上げる調子でテンポのある心地よい運びの一席です。
「唄を唄うところと、浮かれた八五郎と周りの釣り師達のテンションのギャップが難しい」とは桃家へいの弁。 苦心してます。


むこうじま
向島:

現東京都墨田区の地名。隅田川東岸に位置する。

よし
葦:

植物アシの別名。「悪し(あし)」に通じる忌(い)み嫌って「善し(よし)」にちなんで呼んだ。


野ざらし:

風雨にさらされて白骨化した人間の骨。特にその頭骨。

ふびん
不憫

かわいそうなこと。

えこう
回向:

難読語として受験必出!?死者の冥福(めいふく)を祈って念仏を唱(とな)えたりすること。

くどく
功徳:

難読語Bランク!?あとでよい結果がかえってくる、よいおこない。

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のめる

『二人癖(ににんぐせ)』ともいう噺で、なんぞてえと「一杯呑(の)めらァ」という口癖の男と、なんぞてえと「つまらねえ」という口癖の男、この二人がお互いに「その癖はよくない」、直そうということに。言ったら罰金という約束で、今度はお互いにそれを相手に言わせようとする。先に仕掛けて逆に罰金を払わされたのは「一杯呑めらァ」が口癖の男。くやしいもんで、なんとか「つまらねえ」を言わせようとさらに一案、向こうの好きなものは何だ~将棋が好きだ!それじゃあ 詰め将棋で仕掛けてやろう。本来は“詰まない”というところだが、口癖なら“詰まらない”というだろうと。計略 図に当たって「つまらねえ」と言わせて罰金がもらえると喜んだものの・・・ 小品ながら、なかなかよくできた噺と思うんですが、残念ながら市販の音源もなかなか見つからなくて、つまらねえ・・・

詰め将棋:

王将の詰め手を研究する将棋。与えられた譜面に基づき、一定の持ち駒を使って、連続して王手をかけて詰めるもの。王将の逃げ場がなくなり動けなくなる、勝負がつくことを「詰む」という。

図に当たる:

思ったとおりに事がすすむ。