ら行

 りんきのこま
 悋気の独楽

定吉が、おかみさんに言いつけられて旦那のあとを追い、どこに行くか見届けることに。ついて行くとご妾宅(しょうたく)へ。定吉はちゃっかりお妾さんからお小遣いをもらったり、ごちそうになったり、そして 辻占の独楽をもらう。黒い独楽が旦那の独楽で、赤い独楽がお妾さんの独楽、ちょっと薄いのがおかみさんの独楽だと。これを三つ同時に回して旦那の独楽がお妾さんの独楽にくっついたらお泊りに、おかみさんの独楽にくっついたらお帰りになることしていたそうな。 戻った定吉は、おかみさんに旦那を見失ったとごまかしたが、もらった辻占の独楽を見つけられてしまう。やきもち焼きのおかみさんに言われて仕方なく、この独楽を定吉が回してみることに。結果は・・・。演出的には極論すると、ここでの“おとまりです”と言う“間”でこの噺が決まってしまう。独楽がぶつかって、それがしかもサゲにつながるわけで、ここの独楽をまわすところを盛り上げていくのが力量のいるところでしょうか。 市販のものではNHK落語名人選73二代目桂小南(他に三十石を収録)POCN-1113などでお楽しみください。

悋気(りんき):

〔男女の間の〕やきもち。しっと。

辻占(つじうら):

偶然起こった物事によって吉凶を判断すること。

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六尺棒

 頑固オヤジに 道楽息子でのお笑いという落語ではよくある設定の噺です。吉原かなんかで遊んで帰りが遅くなった若旦那。家の戸が閉まってるんで、店の者の名前を次々と呼んで、開けてもらおうとすると、
「夜分遅く、表をどんどんとお叩きになるのは、どなたですな」
おっと、一番悪いのが起きてた!
若旦那が開けてくださいと頼むものの、この頑固オヤジは、 慇懃に他人と話すような口調で、とりつくしまも与えぬといった調子。それならと自棄(やけ)になった若旦那、家に火をつけますよと、マッチをすり出す。怒ったオヤジは 六尺棒を持って飛び出してくる。つかまってなるものかと逃げ足の速い若旦那。うまくオヤジをやりすごした若旦那は、ちゃっかり家に入り込んで、今度は戻ってきたオヤジを入れてやらない…飛々院とら馬いわく、「親父さんと若旦那の駆け引きと逆転するところが面白い」と。
実は子を気遣い、歳をとった親父を気遣うといった、ほんのり親子の情も伝わる小品です。
CDならコロンビア「決定版 志ん生落語集 ライブ 七」(他に粗忽長屋・厩火事を収録)COCF-11767などでお楽しみ下さい。


道楽:

(1)「趣味」の意の老人語。(2)ばくち・女狂いなどの悪い遊び。~新明解国語辞典第四版。
ううむ、きわどい語釈。


吉原:

江戸時代、遊女屋の多く集まった場所。今は…

いんぎん
慇懃:

たいへん礼儀正しく、ていねいにするようす。

とりつくしま:

頼りとしてすがるところ。多く、あとに打ち消しの表現を伴って用いる。(相手に突き放されてどうしようもない状態を表現。)


六尺棒:

樫(かし)などで作った長さ六尺(約1.8メートル)の棒。防犯・警備・
護身用などに用いた。